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研究紹介

生きているまま“観る”

細胞内小分子、RNA、タンパク質が、いつ・どこで・どのように機能を発現しているか、時間軸を含めた生体分子の機能を可視化する新たな研究方法と技術開発を進めています。これまでに、細胞内在性RNAの蛍光イメージング法、タンパク質間相互作用解析法、細胞内タンパク質リン酸化検出法、動物個体内のタンパク質細胞内動態イメージング法等を開発してきました。立体構造や機能が明らかとなったタンパク質をツールとして、タンパク質工学を駆使し、分子認識と情報変換を兼ね備えた分子プローブを開発しています。

・RNAイメージング
・タンパク質間相互作用解析法
・GPCRイメージング
・プロテアーゼ活性解析法

生きているまま“探る”

生理機能をコントロールする新規化合物の同定は、スクリーニング法の開発に大きく依存しています。新たなスクリーニング法が確立されれば、新規分子種の同定・発見が期待できます。我々は、機能性ペプチドを、遺伝子ライブラリーからハイスループットにスクリーニングする独自の技術を開発し、ミトコンドリアや細胞内小胞に輸送されるタンパク質の網羅的解析法を開発してきました。また、細胞融合やGPCR活性を制御する化合物をスクリーニングするために、発光プローブを発現した細胞を独自に開発し、ケミカルライブラリースクリーニングを実践しています。

・遺伝子ライブラリースクリーニング
・ケミカルライブラリースクリーニング

生きているまま“操作する”

生体内の調べたいタンパク質の量や機能を外から照射する光で制御できれば、そのタンパク質に関連する時間的・空間的な知見を得ることが可能となります。我々は光受容タンパク質をベースとして、細胞内の様々なシグナルを時空間的に操作する新たなコンセプトの創発を行っています。さらに、シグナルの数理モデル構築することで、定量的な光操作の実現を目指しています。イメージング技術と組み合わせることで、生体深部の分子操作と観察を非侵襲的に実現する革新的な分析法の開発を目指しています。

・細胞膜リセプターの操作
・細胞内シグナルの操作

研究室

PI 小澤 岳昌
Takeaki OZAWA

小澤研究室では、生きた生物を対象として、光を利用した生体分析技術’Opto-Bioanalytical methods’を開発しています。そして開発する方法や計測技術を用いて、細胞や魚やマウスなどを対象として、生体分子のはたらきを時空間的にとらえ、自ら生命の謎を探求します。究極的な目的は、生命の本質を分子の言葉で理解することですが、言い換えれば、化学的な「物質観」で生命という対象にアプローチする、新たな学問を開拓することに他なりません。研究室メンバーの一人ひとりが自然現象に正面から向き合い、生体分子を自在に操りレンズを通して観ることで、独自の物質観や想像力を涵養しつつ研究を進めています。科学の進歩は年々加速し続けています。生命分子化学や分析化学の今の未来予想図を大きく改訂するような、新たな種をみつけ芽を息吹かせる研究を目指しています。

分析化学講座は、1921年にはじまり100年以上の長い伝統を有した研究室です。現在の分析化学講座は、20代の大学院修士・博士課程の学生を中心に、学部4年生、助教、そして博士研究員が在籍しており、教授を含め約25名程度で構成されています。研究室のメンバーが相互に親睦を深めることで、健全な組織運営が保たれています。研究は一人ひとりが独立したテーマに取り組み、担当スタッフとディスカッションしながら主体的に研究を進めています。研究生活で重要なことは、調査能力、発想力、実験遂行能力、論理的思考力、そして表現力です。これらを在学中に会得し、一人前の研究者としての能力を磨き上げていきます。また研究室では様々な年間行事を計画的に行っており、イベント参加による息抜きや気分転換を行うことで、研究+αを会得することができるでしょう。